《MUMEI》

その街を通り、私は街外れの駅に向かった。

普通の人間の住む街からよりも、ここから向かった方が早い土地に、用事があるからだ。

そろそろ昼になるが、ここで昼食を買う気は全く無い。

…何が入っているか、分かったもんじゃないからだ。

やがて電車が来て、乗り込む。

今度は3つ先の駅で降りるので、早いものだ。

そろそろ腰が痛くなってきたしな。

降りた所は、普通の人間が住む平凡な都市。

都市としては発展しており、近代化している。

駅ビル1つにしても、大きくて立派だ。

確か待ち合わせは駅ビルの5階にある喫茶店。

ケータイを開き、時間を確認すると良い頃合だ。

案内板を見てから、そのまま喫茶店に向かった。

待ち合わせの場所に着くと、相手は先に待っていた。

「ナオ、久しいな」

声をかけると、待ち合わせをしていた相手・ナオは立ち上がった。

「お久し振りです。マカ」

立ち姿の美しいナオは、私と同級生だが、高校は別。

そして同属である。

私とナオはソファーに腰を下ろした。

「悪いが昼食を食べて良いか? まだなんだ」

「はい、構いません。お代のことは気にしないでくださいね」

弱々しく微笑むナオは、私に借りがあるせいか、少々気落ちしている。

なので解消してやるべく、昼食にステーキセットとパフェを頼んだ。

ステーキセットは牛の300グラムのステーキと、コーンスープにご飯とサラダ。

パフェは大盛りフルーツパフェを選んだ。

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