《MUMEI》
転居
「さてと、出発しますかね。」
カバンをもち立ち上がる。俺たちの荷物は車につんであるのでリンの荷物だけである。

「ところで、アンタたち車で来たのよね?」
俺たちの後ろにいたリンが聞く。

「まあな、オレの華麗なドライビングテクニックを駆使したぜ。」

「エアバックが作動したよっ!」
道中共にしてきたタカが叫ぶ。あれって少しぶつけただけで膨らむね。

「……とてつもなく不安になって来たけど、それはおいといてガソリンとか買いだめしといた方が良くない?デイリーにも置いて無いでしょ。」

確かに。これからも使うし、ライフラインのひとつとしてみるべきか。

「なら、スタンドも寄ってくか。ちょうど途中にあるしな。よし、行くぞ。」

がちゃり

ドアを開けるとそこには相も変わらずゾンビたちが点々としていた。そろそろ見飽きてきたのでハムスターか何かと入れ替えてもらうと多角的にたすかるのだが。

「とっとこ、とっとこっと。」
版権的にも危ない足取りで階段を降りる。そして、オレ達の車までついた。

「……おじさん、大事にしてたのに…。」
車を見て嘆く。ベコベコになった4WDはもう廃車寸前の様相を呈している。

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