《MUMEI》

注文すると、ほどなくステーキセットが運ばれてきた。

パフェは食後だ。

しかしナオはホットコーヒーしか飲んでいなかった。

「ナオは食わないのか?」

「私は後で構いませんので、お気になさらずに」

「ふぅん…。なら遠慮なく」

私はステーキセットとパフェを見る間に食べた。

食後のコーヒーを飲んで、一息ついた。

「随分お腹が減っていたんですね」

「ああ、朝から出掛けっぱなしだったからな。これからも行くところがあるしな」

「そうですか。なら、コレを」

ナオは正方形の紙包みを差し出した。

中を開けると、それは色とりどりの折り紙だ。

「この前のチェーンメールのお詫びです。ご注文どおりの物を作りました」

「ああ、すまない。これで互いにチャラだな」

「はい、でも…」

ふとナオは表情をくもらせた。

「戦いに、使うおつもりなんでしょう?」

「ん? …まあ、な」

相手が相手なだけに、用意はちゃんとしておきたかった。

だからリンやナオに頼んで、とある物を作ってもらった。

「私が口出すことではないとは分かっています。でも…あまりムリはしないでくださいね? もしお力が必要であれば、私も少なからずご助力いたしますから」

「…ありがとな」

私は苦笑を浮かべた。

ナオにまで心配かけるとはな。

でもそれも仕方無い、か。

何せ相手は…。

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