《MUMEI》
後輩とのキス
「あの…好きです」

「うん?」

オレの笑顔は張り付いた。

「好き…なんです」

「…うん」

相手に合わせて、オレの声もしぼんだ。

…ていうか、この状況は何だ?

オレに告白してきたのは、同じバスケ部の1年生。

そしてオレは2年生、コイツの先輩だ。

しかし…ウチの学校は『男子校』。

告白されても…正直困る。

こういうのが今まで無かったワケじゃないから、余計に、か?

コイツはウチの学校で、1・2を争うほどの美形で有名。

オレもはじめてコイツを見た時は、キレイな男だって思った。

それにオレより長身で、頭も良いと評判。

だから部活勧誘の為に、体育館でバスケ部員同士で試合をしていた時に、見学に来ていたコイツに声をかけた。

入学式の時から気になっていたんだって…。

…もしかして誤解された?

その後、何となしにコイツに懐かれている自覚はあった。

オレも副部長としての立場があるから、新人指導のつもりで良く接してたけど…。

コレは……どうしよう?

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