《MUMEI》 普通のヤツなら、すぐに断りを入れる。 しかしコイツの場合、ちょっと躊躇う。 いつもほとんど無口で無表情、真面目でふざけたことを一切しない。 だけどオレにだけは違った。 オレと二人の時だけは、笑顔を見せてくれた。 いろいろな表情が見れて、オレはそれを嬉しく思ってしまっていた。 ………つまり、あんまりハッキリとは認めたくは無いが。 好き、なんだろうな。コイツのこと。 「あっあの…」 「んっ、ああ…」 返事、しなくちゃな。 オレの方が先輩なんだし。 今にも泣き出しそうな顔をされると…正直、嬉しく感じてしまう。 他のヤツらが絶対に知らないコイツの表情、一人占めしたい。 だけど先に告白されたのが、ちょっとシャクだ。 だからオレは―アイツの首に手を回して、引き寄せてキスをした。 「っ!」 「―好きだぜ、オレも」 唇に息をかけながら、言った。 「えっ…」 「んなマヌケ面、他のヤツには見せんなよ」 そう言ってまたキスをする。 「んっ…!」 前へ |次へ |
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