《MUMEI》

普通のヤツなら、すぐに断りを入れる。

しかしコイツの場合、ちょっと躊躇う。

いつもほとんど無口で無表情、真面目でふざけたことを一切しない。

だけどオレにだけは違った。

オレと二人の時だけは、笑顔を見せてくれた。

いろいろな表情が見れて、オレはそれを嬉しく思ってしまっていた。

………つまり、あんまりハッキリとは認めたくは無いが。

好き、なんだろうな。コイツのこと。

「あっあの…」

「んっ、ああ…」

返事、しなくちゃな。

オレの方が先輩なんだし。

今にも泣き出しそうな顔をされると…正直、嬉しく感じてしまう。

他のヤツらが絶対に知らないコイツの表情、一人占めしたい。

だけど先に告白されたのが、ちょっとシャクだ。

だからオレは―アイツの首に手を回して、引き寄せてキスをした。

「っ!」

「―好きだぜ、オレも」

唇に息をかけながら、言った。

「えっ…」

「んなマヌケ面、他のヤツには見せんなよ」

そう言ってまたキスをする。

「んっ…!」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫