《MUMEI》 話. −−−放課後になり、 それぞれ友達に声を掛け合って、帰宅しようとざわめく教室の中、 「由紀!」 教室から出て行こうとする由紀の背中に、わたしは呼びかけた。 由紀は足を止め、ゆっくり振り返る。 その顔を見つめ返して、ちょっと時間貰っていい?と、尋ねる。 「話があるの」 今日のことも含めて、いろいろと話をしたいのだが、いかんせん教室では落ち着かないので、場所を変えようと思ったのだ。 彼は少し思案したのち、いいよ、と答えた。 「少しだけなら」 素っ気ない言い方だったが、それを聞いて、わたしはホッとする。 わたしと由紀は、揃って教室を出て、学食近くの中庭へと向かう。そこは放課後になると、あまりひとも通らないので、ゆっくり出来ると思ったのだ。 . 前へ |次へ |
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