《MUMEI》 怒らせた理由と仕返し. わたしは、そんな由紀を見つめたまま、なにを話せばいいのかわからなくなり、鼻の頭を人差し指で撫でながら、なんかさ…と呟いた。 「わたし、アイツのこと怒らせちゃったみたいで…だから、あんなふうに嫌がらせしてきたんだと思う」 廉のファンである女の子たちの目の前で、 あんなことを言えば、わたしは間違いなく妬まれて、酷く面倒なことになるのは、だれにでも簡単に想像がつくだろう。 『覚悟しとけよ』 廉が繰り返した、あの台詞の意味は、 たぶん、そうやってわたしを周囲から孤立させ、精神的に追い詰めようとしているのだ。 「…アイツはわたしを陥れようとしてるの。わたしが困るのを見て、喜んでるんでしょ」 たどたどしく言葉を紡ぐと、由紀は眉をひそめた。陥れるって…と呆れた口調でぼやく。 「お前、北條になにしたんだよ?」 尋ねられて、わたしは瞬いた。 . 前へ |次へ |
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