《MUMEI》 . わたしがそう叫ぶと、由紀は、キッと眉を吊り上げて、 「放っとけるかよッ!!」 割れるような大声で、怒鳴った。 わたしはまた、口をつぐんだ。これ以上、なにかを言い返すことを許さない雰囲気を、由紀はその全身で醸し出していた。 彼は今度は抑えた抑揚で、続ける。 「放っとけねーよ…お前、隙ありすぎなんだもん。北條のことだって、どう転ぶかわからねーってのに、全然自覚ねーし」 そこまで呟いて間を置くと、心を鎮めるようにグッと拳を握りしめて、ゆっくり顔を俯かせた。 長い前髪がハラリ…と落ちて、彼の顔を隠す。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |