《MUMEI》
お邪魔虫
.

深く息を吐き、俺は…と震える声で、言った。


「俺は、ずっと……」


由紀が、そこまで呟いたときだった。


わたしの背後から、スッとしなやかな腕がのびてきて、がっしり首をロックされる。

突然のことにビックリする間もなく、聞き覚えのある呑気な声が、流れ込んできた。




「ハイ、そこまでー」





………えっ!??



わたしと由紀は、弾かれたように声の主を振り返った。


細身だがたくましい身体。鍛えられた腕。淡いキャラメルブラウンの髪の毛…。

わたしは目を見張り、


「…北條 廉ッ!?」


彼の名を呼んだ。


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