《MUMEI》

…2人の笑顔が眩しい。

「ああ、クリスマスプレゼントか。悪いな、当日がムリで」

「ヒミカからちゃんと聞いていますよ。実家の用事ならば、仕方ありません。ボクも実家に帰らなければなりませんし」

「ボクもルナから聞きました。ボクも本家に呼び出されていますから」

アオイの本家…。

思わず表情が強張る。

そんな私の顔を見て、アオイは苦笑した。

「まあマカさん達のことが話題に出ると思いますが、それとなく逸らしておきますね」

「…すまないな。どうもあの一族は苦手で…」

何かと同属を手にしようとする、強い支配力を持つアオイの一族。

いろんな意味で、苦手だ。

「あっ、そうだ。マカさんに聞きたいことがあったんです」

アオイは急に真剣な顔で、私を見つめてきた。

「何だ?」

「来年のバレンタインは、ご実家で呼び出しとかはないですか?」

がくっと膝の力が抜けた。

「あっ、それはボクも聞きたかったことです! マカさん、どうなんですか?」

キシまで熱くなった。

「…はぁ。その日は大丈夫だ。安心してくれ」

「ホントですか!」

「良かったです」

「ただし!」

私は表情と共に、険しくなった。

「何もなければ、な」

その言葉に、2人の表情が一気に固まった。

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