《MUMEI》
夕方、帰還
しかし街中を歩いていると、前から来た人物に意識が向いた。

楽しそうに、2人の女の子を両脇にはさまれながら歩いてくる美少女。

美しい銀色の長い髪に、深海のような深い色の瞳。

しかし私と美少女は何も言わずに通り過ぎる。

―美少女の口元には一瞬、イヤな笑みが浮かんだが…。

ソウマの店に行くと、一人の少女と入り口ですれ違った。

具合が悪そうで、顔面蒼白だ。

胸元を押さえながら、ソウマの店から出てきた。

「…珍しいな。客が来ていたのか」

「ええ、まあ。お帰りなさい、マカ」

「おっ、マカ! いらっしゃい!」

「マカ、いらっしゃい」

ソウマ・ハズミ・マミヤが出迎えてくれた。


「ブランデー入りココアを頼む」

「マカ…。ここは小物屋兼喫茶店ではないのですが…」

「外は寒かったんだ。良いから、作れ」

「あっ、じゃあオレが作ってくるよ」

ハズミは笑顔で奥に引っ込んだ。

ハズミは意外と手先が器用で、細かい作業や料理が上手だ。

だから安心して任せて、私は店内を見た。

「で、さっきの少女は何を買ったんだ?」

か弱そうに見えたが、多分女子高校生だろう。

「それは企業秘密です。それよりマカ、オススメしたい商品があるのですが」

「私に? 新作の確認か?」

「いえ、個人的にですよ」

ソウマが手招きをするので、私はそこへ向かった。

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