《MUMEI》
始まりのキス
いきなり、キスされた。

「んんっ!」

両手を壁に押し付けて、アイツは激しく深く唇を合わせてくる。

「〜〜〜っ!」

抗おうにも、強い力と息苦しさでロクに抵抗出来ない。

悔しさと苦しさに、目に涙が浮かぶ。

「ふっ…!」

しかし唇は突然離れた。

ヤツはけれど両手を放してくれない。

「はっなせよっ!」

「―宣言してやるよ」

「はあ!?」

「お前は絶対、俺を好きになる」

「ふざっけんな!」

ありったけの力を込めて、ヤツの脇腹に蹴りを入れた。



―翌日。

…サイアクだ。

何でよりにもよって、アイツにキスされるんだ?

教室の隅でどんよりしているオレとは逆に、アイツの周りは華やかだ。

女子生徒に囲まれ、最上級の笑みと話術を披露している。

「相変わらずスゲーよな」

「ウチの女子生徒、全員手ぇ付けられたって話だぜ」

遠巻きにいるクラスメイト達が、アイツを見ながらコソコソ話している。

…毎日同じ内容で、飽きないのか?

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