《MUMEI》

「ったく…」

目を閉じ、気分を落ち着けさせようとしても、悶々としてしまう。

アイツのふざけた笑い顔が、殴りたくてしょうがない。

「あれ? こんな所でサボり?」

だから声が聞こえた途端、すぐに目を開け、殴り掛かった。

「うをっ!」

パンッ!

…しかしオレの右ストレートは届かなかった。

寸前で止められてしまった。

「チッ」

「スゴイ挨拶だなぁ。強烈過ぎ」


「テメーの場合は自業自得だ」

「…昨日のこと、考えてたんだ?」

そう言って得意げに笑って見せる。

「ああ、考えたさ。凄まじくイヤな嫌がらせだとな」

「えっ! 嫌がらせじゃないよ? ちゃんと本気だってば」

「どの面下げて言いやがる!」

「ホントだって」

そう言って屈み込んで、オレの顔を覗く。

「どう? オレのこと、好きになっただろう」

「誰がだ! 自意識過剰もいい加減にしろよ?」

「いや、だから本気なんだって。気持ちこめたし?」

そう言ってまたキスをするフリをする。

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