《MUMEI》
放課後の廊下で
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わたしは廉にヘッドロックされ、ズルズルと引きずられたまま、校舎へ連れていかれた。
ひと気のない放課後の廊下に、わたしの喚き声だけが喧しく響き渡る。


「ストップ!待って!!苦しいってばっ!!窒息するッ!!」


全身全霊で懇願すると、彼は突然、パッと腕を離し、わたしを解放する。
よろめきながら、わたしはむせ返った。

床の上にへたり込み、ゼーハー!と激しく呼吸をしながら、涙目で廉を睨みつける。


「女の子になにすんのよッ!!ヘッドロックとかありえないし!!」


殺す気かッ!と罵声を浴びせたが、廉は涼しい顔をしていた。

わたしを見下ろして、呆れたようにため息をつき、


「あーんなところで男とイチャつくなんざ、100万年早い!」


と、意味のわからないことを言い放った。


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