《MUMEI》

.

わたしは一層、眉間にシワを寄せて、なんでよ?と唸るように言った。


「どうして由紀がかわいそーなのよ?」


本気でわからなかったので尋ねたのに、廉はバカにするように肩を竦めて、さあね、とシラを切る。


「無い知恵しぼって、自分で考えたら?」


ますますわからなかった。

それきり廉は由紀の話を切り上げて、腕を組み、しかし…と唸りながら、わたしを見下ろす。


「お前、マジでモテるんだなー。理解に苦しむけど」


いきなり話が変わったので、わたしは顔をしかめた。


「なに、突然?」


ぼやくと廉は頭を乱暴にかいた。

わたしから目を逸らし、校舎の窓から外を眺めて、呟く。


「さっき、ノートが云々ってお前に話しかけたあと、クラスの男どもに取り囲まれてさ〜。『宇佐美サンとどういう関係なんだよ』って質問攻め」


ウゼーのなんのって、とため息をつく。


.

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫