《MUMEI》 . やたらと得意げな廉を見つめながら、わたしは少し考えて、 「…それだけ?」 と、尋ねると、廉は、おう!と頷いた。 「何度も言ってんじゃん。『覚悟しとけよ』って」 ……。 ………まさか、 『覚悟しとけよ』って、 そういう意味だったの?? 廉の言葉の真意を理解した途端、 張り詰めた糸が、プツンと切れたように、 全身の力が抜けていった。 ヘナヘナと力無く床の上にしゃがみ込む。 急に腰を下ろしたわたしを見て、廉は、お??と目を見張った。 「嬉しすぎて、腰砕けたか?」 などと、アホなことを口走っている。 わたしは反論する余力もなく、ただ、自分の額に手を添えた。 ………なぁんだ。 わたしはてっきり、 廉が、わたしを陥れようとしてると思って…。 そうなったら、どう対処しようかって、そればかり…。 なんだ、そっか。 . 前へ |次へ |
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