《MUMEI》 . パニックになっているわたしをよそに、廉は再び正面に向き直り、伊達さんとの電話を続けていた。 「授業、長引いちゃってさぁ…うんうん、よろしく」 じゃ、そゆことで☆と、さっさと電話を切った。 わたしは真っ赤に染まった顔を見られたくなくて、少し俯かせていた。 廉は携帯をポケットにしまうと、クルッと身体をこちらへ向ける。 大真面目な顔で、いきなり言った。 「イヤになったことなんて、一度もねーよ」 突然だったので、わたしは顔をあげ、 は?と眉をひそめる。 「…なんの話?」 ワケがわからない。 . 前へ |次へ |
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