《MUMEI》

ピロシキエフは、架け橋を登るドキンちゃんの片手をとると、そのまま手の甲にキスをする。



ピロシキ「ミス・ドキンも相変わらず美しい…。」



ドキン「まぁMr.ピロシキエフったら…(笑)」



ドキンちゃんは、昨晩のバイキンマンとの苦痛に満ちた情事が嘘のように、仕事向けの笑顔を巧みに演じていた。



4人が談笑に耽る後ろでは、ロシア人の船員達がバイキンマンの漁船の船槽から、取引に用いる荷物を次々と運び出している。



貨物船に上げられたのは、大きなジュラルミンケースが一つと…



数十個ものクーラーボックスだった。



ボルシチェンコがジュラルミンケースを開けると、そこには数億円もの日本円が詰めこまれていた。

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