《MUMEI》 スタート2夜の顔を見せるオフィス街。 古ぼけたビルの屋上に、男がひとり。 髪をひとつに結い上げ、全身を黒装束で包み、腰には小さな鞄と短刀。目元に猫の引っ掻き傷のような模様の入った面をして、顔はわからない。 この男−−− ウェルカは、今までに感じたことがないほどの喜びを噛み締めていた。握りしめた手が震える。 腰から提げた愛刀に触れ、装備を確認すると、ひょいとそこから飛び降りて、闇に消えた。 初めて賜った仕事。 速やかに確実に、 こなしてみせます。 見ていてください、若様! 前へ |次へ |
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