《MUMEI》

ソウマが示した棚には、新色の毛糸が山積みされていた。

「今年の新作であり、新色です。水濡れせず、また破れたり、千切れたりしません。丈夫な毛糸でして、織物にして身にまとうと、防御力が上がります」

「防御…言い方はアレだが、まあ意味は分かる」

私は近くにあったオレンジ色の毛糸を手に取った。

…ハズミに似合いそうだな。

「マカ、冬になると必ず編み物をするでしょう?」

「まあな。ストレス解消にもなるし」

結構凝った物ができれば、素直に嬉しい。

ミナに毎年プレゼントしているが、スゴク喜んでくれるし。

「普通の人間にも害はありません。カエデも買っていきましたしね」

「…ああ。このマフラーと同じ毛糸か」

ワインレッドのマフラーの色は、確かに棚にある毛糸と同じ色・そして手触りをしていた。

「フム。いくつか買っていくか」

ミナにカーディガンでも編むか。

それにいくつか買って、いろいろ編んでみるか。

選んだのを次々とマミヤに渡すと、紙袋いっぱいになった。

「マカ、編み物が趣味なのか?」

「冬限定だけどな。気晴らしには良いんだ」

「マカらしい理由だ」

マミヤは苦笑しながら紙袋を渡してくれた。

「お待たせ! マカ、できたよ」

「ああ、テーブルに置いてくれ」

ハズミはココアとクッキーを持ってきてくれた。

「クッキーはマミヤお手製。ジンジャークッキーだよ」

「季節ならではだな。ありがたく頂く」

マミヤに微笑みかけると、笑顔で頷かれた。

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