《MUMEI》

「失踪者は突然消えてしまったようです。ウワサですが、影に覆い隠されてしまったとのことで…」

「影…」

私の脳裏に、双子の弟の姿が浮かんだ。

「まさかと思いまして…」

「そうか…。場所は?」

ソウマは真剣な表情で、小さな紙切れを差し出した。

「2日前になりますが、2人ほど消えてしまったようです。1人は霊能力者、もう1人は未来予知者として地元では有名だったようです」

今度は能力者を喰らったのか…。あの愚弟は。

確かに普通の人間よりも、能力者の方が栄養にはなるな。

「同属を狙わないのは、私に勘付かれない為か。変なところで知恵が回るのは、母親譲りだな」

チッと舌打ちすると、ソウマは苦笑した。

私は紙を受け取り、広げた。

「…ここから20分程度か」

「行ってみます?」

「もう遅いかもしれんがな。手がかりくらいは見つけられるかもしれん」

紙をコートのポケットに突っ込んだ。

「悪いが毛糸は私のマンションに届けておいてくれ。今日はメイド達が来ているから、カエデにでも渡してくれ」

「分かりました。お気をつけて」

店内に出ると、空気を感じ取ったのか、ハズミとマミヤは真剣な表情をしていた。

「悪いが急用ができた。また今度な」

「うん…」

「またな」

そのまま駆け足で現場へ向かった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫