《MUMEI》
はじめてのキス
いつも学校帰りに寄るコンビニがある。

学校から駅までの道のりの途中にあって、よく電車の待ち時間潰しに利用していた。

今日もまた、学校帰りに寄る。

でも最近は買い食いが多くなっている。

コンビニで最近発売されたばかりの新商品・『焼きスイートポテト』にハマっているからだ。

棚に行くと…空だった。

…いきなり売れたのか?

にしても、新商品は他の商品よりもたくさん置いてあるハズだった気が…。

「あっあのっ…!」

間近で声がした。

もしかして邪魔になっていただろうか?

「あっ、すみません」

避けようとして、気付いた。

声をかけてきたのは他校の男子生徒。

彼はココのコンビニの袋を持っていた。その中には…オレが食べたかった『焼きスイートポテト』がいっぱい…。

「ちょっと話しがあるんだけど…。きっ聞いてくれたら、コレ全部あげるから!」

そう言って彼は真っ赤な顔で、袋を差し出してきた。

「…はあ」

とりあえず、敵意は無さそうだ。

彼に付いて行くと、コンビニのすぐ裏にある公園に来た。

人気はあまりない。

彼は振り返るなり、夕闇でも分かるぐらい真っ赤な顔で言った。

「すっ好きです! 付き合ってください!」

「………はい?」

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