《MUMEI》

…何かの冗談?

思わず周囲をキョロキョロ見回す。仲間らしき者達はいない。

「あの…オレ、男なんですけど」

「わっ分かってる! けど、キミが良いんだ! あのコンビニで見かけた時から気になってて…!」

…あそこのコンビニは駅近くにあるせいか、学生が良く利用する。

その中の一人なんだろうが…何て言えばいいんだろう?

「えーっとですね…」

でもとりあえずは何か言わないと、間が持たない。

「あっ、そうだ!」

…人の話を聞かない人だ。

「コレっ!」

ズイッと袋を差し出してくれた。


「俺の話、聞いてくれたから…」

……返事はいいのか?

「はあ、どうも」

とりあえず、受け取る。

「…良かったら、一緒に食べませんか?」

「えっ! 良いの?」

「はい。一人じゃこんなに食べられませんし」

袋はズッシリ重い。たくさん入っているからだ。

公園のベンチに二人で腰をかける。

袋から一つ取り出し、彼に差し出す。

「はい、どうぞ」

「あっありがと」

…って言っても、彼が買ってくれたものだが。

二人で黙々と食べる。

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