《MUMEI》

けれどノドが渇いた。

さっきのコンビニで買ったお茶を開けて、飲む。

そして彼に差し出す。

「あっ、良かったら」

「えっ!? でっでも…」

あっ、口を付けた後はまずかったか。

「間接キスになるんじゃ…」

…違ったか。

「いらないんでしたら、片付けますけど?」

「あっ、いる! 飲みます!」

そう言ってペットボトルを持って、恐る恐るといった感じで一口飲む。

「ありがとう…」

「どういたしまして」

オレはふと、袋を見た。

棚にあるだけ買ってきたみたいだけど、オレがコレにハマっていること、知っていた…んだろうな。

オレは今、好きな人も付き合っている人もいない。

言わばフリーだけど…。

改めて彼を見る。

良く見れば、彼の着ている制服はここら辺では有名な高校のだ。

…頭が良すぎると、どこかおかしくなるんだろうか?

「ねっねぇ」

「はい?」

「こっ恋人がいきなりダメなら、とっ友達からってのはどうかな?」

おっ、向こうから妥協してきた。

「まあ友達なら…」

「ホント? じっじゃあケータイナンバーとメール教えて! 今、俺の出すから」

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