《MUMEI》

「まあ職業柄な。それより消えた時のことを聞きたいんだが」

「ああ、そうでしたね」

青年は深く息を吐き、湖を見つめた。

「一人目は霊能力がある16歳の少年でした。我が村では青年団という存在がありまして、夜には巡回に出ていました。彼もまた、青年団に入っていたのですが…」

そこまで言って、顔を上げ、沈みゆく太陽を見つめた。

「あの晩は月が出ていませんでした。真っ暗闇の中をランプを持ちながら巡回していました。巡回と言っても、村の外側を一回りするだけだったんです。なのに…」

ぎゅっと唇を噛み締めた。

「少年はランプの火が一瞬消えた隙に、消えてしまいました」

「消えた? …正確には?」

「言葉通りです。残念ながら…」

そう言って首を横に振る。

「3人一組での巡回でした。僕も一緒にいたんです。ですが…あの時、風もないのにロウソクの火は消えて…。再びマッチで付けた時には、彼はいませんでした」

その後、いくら捜しても彼は見つからなかったと…。

「ふむ…。二人目はどうだ? 確か未来予知者だったんだろう? 先に何か感じていなかったか?」

「二人目はまだ15歳の女の子でした。母親と外から家の中に入る前、暗い森の中で何かを感じたらしく、中に入った後、見つからなくなりました」

青年は視線を私に向けた。

「確かに彼女は未来予知をする力を持つ人でした。でもあくまでもそれは予知夢でして、とっさのことはムリだったでしょう」

「自分の身の危険も見なかったのか?」

「彼女は残念ながら、自分に関する予知夢は見られなかったようなので…」

なるほど。

まあ、ままあることだ。

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