《MUMEI》 屈んで赤い目を見る。 「そう言えばそのウサギ、今のあなたを見ているように、黒尽くめの人を見ていましたね」 青年の言葉に、私は眼を見開いた。 …なるほど。 このウサギが私に懐くわけだ。 私はウサギを一撫でして、立ち上がった。 「いろいろ聞かせてくれてありがとう。まあもうないとは思うが、くれぐれも暗闇には気をつけて」 「分かりました。お送りしましょうか?」 「いや、私は1人でも平気な者なんでな」 青年に軽く手を振り、私はその村から出た。 村人は最後まで、私を胡散臭そうに見ていた。 …恐らく何らかの勘が働いているんだろう。 そしてその勘は正しい。 私は人間では無く、闇のモノなのだから―。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |