《MUMEI》
夜、帰宅
「ふあ〜。ただいまぁ」

出て行ったのはまだ始発の時刻だったのに、帰ってきたのは終電ギリギリの時間帯。

危うく日付けが変わるところだった。

「お帰りなさいませ、マカさま」

「遅かったねぇ、マーちゃん」

「どこまで行ってたの? マカさん」

カエデ・モモ・レイラのメイド三人に出迎えられた。

「あ〜、ちょっと遠くまで足を延ばし過ぎた…。もう寒いし、腹も減った」

「お食事もお風呂も準備、できていますよ」

「まずはお風呂入ってきなよぉ」

「ほら、手伝ってあげるから」

モモとレイラが私を風呂場に連れて行きながら、服を脱がせてくれる。

そしてそのまま風呂に入る。


そして三十分後。

「人心地ついたぁ〜」

モモとレイラに体中を洗ってもらい、体はすっかりあったまった。

リビングに戻ると、カエデが食事の準備をしててくれた。

「こっちもちょうど準備が整いました」

「おっ、今日は海鮮鍋か」

「はい、旬のものをたくさん入れましたから、召し上がってください。お飲み物は何にします?」

「日本酒。熱燗でくれ」

「かしこまりました。あっ、そうですわ」

カエデは両手をぽんっと叩き、子機を持ってきた。

「ご当主から、帰ったら連絡するよう、言付かっておりました」

「ジジイから? 分かった」

「あっ、それとソウちゃんから荷物届いてたよぉ」

「ああ、私の部屋に入れといてくれ」

「マカさん、何から食べるの?」

「カニとカキ」

レイラに小皿によそってもらいながら、子機の短縮番号を押した。

そうして夜は更けていく―。

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