《MUMEI》 . 伊達さんはバックミラー越しに、チラリとわたしたちの様子を眺め見て、はぁぁ…と深く息を吐き出した。 「大目に見るのは、今日までよ。今後は突然、お友達を連れて来ても知らないからね」 すねたような口ぶりに、廉は、わかったわかった!と軽く受け答えた。 わたしはいたたまれなくなり、隣に座っている廉に、そっと耳打ちする。 「…やっぱ、わたし邪魔なんじゃないの?」 伊達さんに、これだけアウェーな態度を取られてしまうと、もう取り付く島もない。 困惑げに尋ねたわたしに、廉はこちらを見ることなく、 「気にすんな。お前が邪魔なのは、今に始まったことじゃない」 静かな声で早口に言った。失礼なことを言われ、わたし無言のまま、は半眼で廉を睨むが、廉はわたしの視線を無視していた。 . 前へ |次へ |
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