《MUMEI》

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テレビ局内に入り、入館手続きを済ませたわたしたちは、長く広い廊下を、脇目もふらずにスタスタ歩く。

廊下の突き当たりにあるエレベーターに乗り込み、各階停止ボタンを押すと、伊達さんは廉の顔を見上げた。


「わたし、これからプロデューサーにご挨拶へ行くから、あなたは楽屋へ行ってスタンバイして!!他のみんなも、待ってるから!!」


共演の方たちへご挨拶も忘れないでね!?と、敏腕マネージャーらしくテキパキと指示を出す。
廉は、はぁ〜い、と間の抜けた返事を返した。

つぎに伊達さんはわたしの顔を見て、すまなそうな顔をした。


「宇佐美さんは【レン】と一緒に楽屋へ行ってて!ご挨拶が済んだあと、迎えに行くわ!!」


彼女の勢いに押されたわたしは、頷き返すのがやっとだった。


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