《MUMEI》
万事休す
美果が立ち上がろうとすると、両側の壁からプシューっと白い煙が噴射された。
「ん…」
急いで両手で口を抑えたが遅かった。美果は煙を吸ってしまい、力が入らない。
(まずい…)
気を失ったら何をされるかわからない。美果は歯を食いしばって耐えたが、ガクンと倒れて眠ってしまった。
ドアが開くと先ほどの大男が美果を軽々と肩に担いだ。
「デブン。女の子は乱暴に扱っちゃダメよ。優しくね」
「アイアイサー」
坂が階段に戻った。デブンと呼ばれた男は、言われたそばから乱暴に階段を上がっていく。
デブンといっても肥満ではないが、ほかの7人よりも、ひと回り大きい。
デブンは夏希が拷問された広い部屋に入ると、美果をベッドに仰向けに寝かせた。
すました顔で眠っている無防備な美果。8人の黒覆面は、目を見張った。
「かわいい」
「犯したい」
仙春美も女。内心ムッとしたが、悟られないように笑みを浮かべると、男たちに指示した。
「さあ。スペシャルコースよ。準備しなさい」
「ホントにいいの。こんな可憐な子に?」
「私を侮辱して無事でいられると思う?」
「おー、こわっ」
デブンは美果の上体を起こすと、シャツを脱がせる。ほかの数人が率先して手伝った。
デブンは容赦なくTシャツを脱がした。
「下着は水色か」ほかの男が高い声を出す。
「早くしろ」
美果が起きる前にデブンは急いだ。彼女を寝かせるとスニーカーを脱がせ、ジーパンに手をかける。
皆エキサイトした。
デブンは無理に渋い顔をすると、乱暴にジーパンを脱がした。
美果はセクシーな水色のブラとショーツだけの姿で大の字にされ、両手両足をガッチリとベルトで固定されてしまった。
万事休すか。
デブンが下着に手をかけると、仙春美が止めた。
「それはまだよ」
「いいじゃん。減るもんじゃないし」デブンが言う。
ほかの7人も願望を目に込めて春美を見つめたが、春美は言った。
「いきなり全裸はかわいそうでしょう。素直に降参したんだから」
「ん…」
美果が少し動く。デブンが頬を叩いた。
「ほら、起きろ」
美果は目を覚ました。
「ん?」
下着姿で黒覆面軍団に囲まれている。
「あっ…」
美果は赤い顔をして仙春美を見た。
「夏希チャンは?」
「普通、第一声はほどいて、でしょう。ホントにいい度胸してるわね」
「夏希チャンは無事なの?」美果が睨む。
「大丈夫よ。ちゃんと服を着て、別の部屋にいるわ」
美果はすました顔で言った。
「あたしは降参して許してもらった身だから。でも、できることならば、ひどいことはしないでほしいけど…あっ」
仙春美は怒りの表情で美果の顎を掴むと、グイッと上向かせた。
「舐めてる?」
「舐めてません」
「舐めてる?」
「舐めてません」
美果が本気で慌てている様子なので、春美は手を離した。
「今度舐めた態度取ったら、やっちゃうわよ」とショーツをポンと叩く。
美果は緊張して唇を強く結んだ。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫