《MUMEI》 消去日が傾き、 弱々しい日差しが照り付ける。 だがその反面、 スポットライトの光線が激しく芝生を照らしつけた。 芝生が受けた光りは様々な方向に反射し、 出場選手を一層際立たせる。 ついに始まる。 フランス対ブラジル戦。 観客席は興奮を忘れず、 立ち上がって叫ぶ奴も出る始末。 皆知っているんだ。 この試合がいかにレベルの高いものかを。 場内全てが、 白熱しきっていた。 俺は瞼を閉じて、 深く深呼吸した。 いつも通りにプレーするんだ。 そう自分に言い聞かせて。 再び軽い深呼吸をして、 コートへ繋がる通路を歩き出す。 その時見えた、 メンバーとともに前方にいる先輩の後ろ姿。 俺は何故かその時、 あの背中には一生たどり着けないような気がした。 前へ |次へ |
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