《MUMEI》 . −−−放課後。 晃はいつもの通り、部活があるから、と言って教室から出て行き、 わたしは無論、何の用事もないから、バッグに荷物をまとめ、帰る支度をしていると、 由紀が近寄ってきた。 「たまには一緒に帰ろーぜ!」 方向同じだしさ、と人懐っこく笑う。 わたしは半眼で由紀を睨み、ヤダ、とすかさず答えた。 「なんで、アンタと一緒に帰らにゃならんのよ」 突き放すと、由紀はニヤニヤしながら、照れんなよ!とからかうように言ったので、アホッ!!と言い返してやった。 そんなふうにじゃれ合っていたら、 「羽柴君、いるッ!?」 教室に、ものすごい剣幕をした女の子が由紀の名前を叫びながら、勢いよく駆け込んできた。 色白でパッチリとした目、柔らかそうな栗色の髪、華奢な身体つき。 カワイイ感じの子だった。 わたしと由紀は同時に彼女の方へ顔を向け、 途端、由紀が小さく、ヤベッ!と呟いた。 . 前へ |次へ |
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