《MUMEI》

「やっ」

「ゲッ…」

帰ろうとして廊下を歩いていたら、何故か目の前にアイツが…。

「ちょっと話があるんだけど、いい?」

オレは血の気が引く顔で、首を横に振った。

「少しで済むからさ」

手を合わせ、上目遣いで見てくるも、オレは鳥肌が立つだけだ。

「いっいや、今日はちょっと用事あってさ…」

ウソをついて逃げようとしたけれど、

「じゃあちょっとで済ます」

そう言って、オレの腕を掴んで歩き出した。

ひっ人の話を聞かない!?


そして連れてかれたのは、よりにもよって例の資料室。

思わず当時のことが頭の中でよみがえり、ダメージ再発…。

「この間のこと、詫びてなかったなぁと思って」

資料室に入ると、腕を離してくれた。

「いっいや、オレの方こそ、大声だしてゴメン。怒られたんだって?」

「まあね。でもいつものことだから」

…何が『いつものこと』? ツッコミたいけど、怖くて出来ない…。

「まあとりあえず、ゴメンね。びっくりさせただろう?」

「そりゃあもう…」

しばらく忘れられなかったぐらい…。

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