《MUMEI》 . 廉はそんなわたしを見て、あー…と曖昧に声を出すと、 クルッと男の方へ向き直り、 「…俺の付き人?」 と、意味不明なことを口にした。 すかさずわたしは、なんでよッ!とその場で言い返す。 「なんで、わたしがアンタの付き人なのよッ!!」 どんだけエライんだッ!と、つっこんだ。 廉は顔をしかめる。 「ギャアギャア騒ぐな、うるさい」 「アンタのせいでしょっ!?」 喧しく言い合うわたしと廉を交互に見ながら、ダークブラウンの髪の男は、にこやかにほほ笑み、 「とりあえず、ドア閉めようか?」 廊下に声が響いてるよ、と落ち着いた抑揚で言う。 わたしはハッとして、すみませんッ!と反射的に謝りながら、バタバタと楽屋の中へ入り、慌ててドアを閉める。 落ち着きのないわたしの様子を見て、廉は、忙しいヤツだな…と呆れたようにぼやいた。 . 前へ |次へ |
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