《MUMEI》
そのA【ユーゴ】
.

それでも【シュン】は、わたしを無視して、今度はソファーに腰掛けている男の方を見ると、【ユーゴ】!!と呼びかけた。


「携帯ばっか見てんなよ!!廉のクラスメートだって!」


美人じゃね??と続けざまに尋ねる。わたしと廉もそちらへ目を向けた。

【ユーゴ】と呼ばれた携帯男は、【シュン】の声に一度、気怠そうにわたしを見遣った。

その視線が、わたしとぶつかる。

色素の薄い、淡いブラウンの双眸を見て、不覚にも、わたしの胸は高鳴った。

【ユーゴ】は虚ろな眼差しのまま、じ……っとわたしを見つめ、


「…そうだね」


全く感情のこもっていない声で答えると、再び携帯へ視線を戻した。そのまま、わたしを見ようとすらしない。



………なんだ、アイツ。

仮にもアイドルだろ!?

ちょっとは愛想よくしたらどうだッ!



わたしは半眼で【ユーゴ】を睨んだ。


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