《MUMEI》

部室でそんなくだらないやりとりが行われてる間、


クロたちは外で2・3年の着替えを待っていた。



「さよなら〜っす。」



「お〜。
ばいば〜い。」



先に帰宅する1年生。


彼らに夜練はないのだ。



「あ〜暑い。
最近酷いね〜。」



「だな。
外にもクーラーなきゃダメだわ。」



「アイス食いて〜。」



彼ら3人の会話も高校生となんら大差のない会話であった。



「あ、
そういえば美紀から電話きてたんだった。」



思い出したようにクロが携帯を取り出す。













turururu… turururu…













「…はい?」



「あ〜、もしもし美紀?
ごめん何だった?」



「今日も夜練ある日だっけ?」



「そうだね。


市内リーグ終わったばっかだから悩んだんだけど、


やっぱ今大事な時期だし…」



「そっか…」



「何した?」



「ううん…


ただ…


会いたいなって…」



「ん…」



言葉に詰まるクロ。



確かに2人は付き合い始めてから全くと言っていいほど2人の時間がない。


寂しい思いをさせているのはわかっていた。


しかし、


迫る高総体。


今は1分1秒が惜しい。


美紀を説得する言葉が出てこなかった。

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