《MUMEI》

「え?」



後ろからした声にクロは携帯を片手に思わず振り向いた。


ヤマトと恭介も思わず振り向いた。



「お願いしますッ!!」



そこにいたのは佑香であった。



「…」



渋る様子のクロ。


そのクロの様子を見て、



「いいよ。
今日はあいつらウチに止めて夜練させるから。」



恭介がそう言った。



「行ってこい。」



「恭介…」



「んだ。甘えろ。」



「…うん。わかった。」



照れ臭そうに笑顔になるクロ。



「美紀。
今日は夜練なくなった!!」



「え!?」



「だから飯でも食いに行こ。」



「…いいの?」



「もち!!」



「ホント!?やった!!」



喜んでいたのは美紀だけでなく、


クロも同じであった。


クロもまだ二十歳になったばかり。


練習、


バイト、


自分のこと。


選手のこと。


彼女のこと。


1人で全てを抱え込むには無理があった。

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