《MUMEI》 スタート4手柄をあげた新人がよくわからないことを言うので、リアシッラはいつものように、ミンクに一任した。 すると、 「じゃ、お好きになさいな」 新入社員ウェルカ。 異例の昇進で、入社5日目にして代表取締役秘書官に就任した。 ただ、 「細かい仕事は苦手です」 そう言うので、 「今まで通り私がいるから大丈夫。あなたはあなたのできることを探しなさい。若様のお側にいたいのでしょ」 「邪魔をしなければ何でもいいよ」 「あら、寛大ですのね」 「軍本部にいた実力、見てみたいし」 メールに目を通しながら、リアシッラが言った。結果にはそれ相応の報償を与える方針である。 また、ウェルカに対する興味もあった。サービス業に従事するベルカファミリー育ちのリアシッラにとって、血生臭い軍人は別世界の存在である。一挙一動が新鮮に感じられた。 そのウェルカが口を開いた。 「…守ります」 「僕を?」 「あなたの道を阻む、全てのものから」 「敵は多いよ」 「問題ありません」 こいつならやってしまうかも。 リアシッラは何も言わず、不敵な笑みを返した。 こうして、ベルカ社に珍獣がやってきた。 前へ |次へ |
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