《MUMEI》

ボルシチ「シッ!…静かにしろ…!」



ボルシチェンコは口元に人差し指を当てて、ピロシキエフやバイキンマン達にも静止を促した。



貨物船の甲板で作業をしていた船員達も、ボスの一喝に身をこわばらせている。




すると―――…




―――… ブウウーゥン ……



穏やかな波風の音に混じり、どこからともなく微かなモーター音が聞こえてきた。



その音は船舶のものではなく、明らかにプロペラで推進する航空機のものだ。



そして音の聞こえる方角には朝陽が輝いている。



その光を眩しそうに見上げる船員達の目は、まだその機影を捉えられずにいた。

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