《MUMEI》

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彼女は部屋に一歩踏み入れるなり、すぐに空気を察して、眉をつりあげる。


「なぁに??あなたたち、またケンカしてるの?」


いい加減にしなさい!と、肝っ玉母さんよろしく、大声でたしなめる。

伊達さんはドアを乱暴に閉めると、ズカズカ楽屋の中を歩き、メイク台に自分のかばんを、ドン!と置いた。


「こういう空気の悪さは、自然とファンの方たちに伝わっちゃうものなのよ!普段からもっと気をつけてよね!!」


『メンバーは大の仲良し』で通ってるんだから、と釘を刺す。

伊達さんの怒鳴り声に、メンバーたちはシラけた顔をして、はぁい…と気のない返事をした。

廉は不機嫌そうに仏頂面でそっぽを向き、【シュン】はそんな廉から離れてメイク台へ向かい、【ユーゴ】は今までと同じように携帯に向かい合った。

楽屋の中が、急に静まり返る。


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