《MUMEI》 「…まっ、キスシーンは無しでな」 「はっはい…」 「二人きりの時…以外はな」 「はっ…って、えっ?」 彼が顔を上げたので、俺は慌てて向こうを見た。 「それって…二人っきりなら、良いってこと?」 後ろで近付く気配。でも動けない。 「ちゃんとボクの気持ち…分かってる?」 そして後ろから抱き締められる。 「…ああ」 「じゃあ、あのセリフ。言って…?」 俺は顔だけ振り返って、彼に言った。 「お慕い…申し上げます」 「ああっ…! 愛している! 貴方だけを!」 息苦しいほどの抱擁。 演技か真剣なのか…。 出来るなら、ずっとこのままが続けば良いと思った。 前へ |
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