《MUMEI》
病のキス
「うう〜。具合悪ぃ…」

誰もいない保健室で一人、呟くオレは何てサミシイヤツなんだ。

でもしょーがない。

保健の先生は用事があるとかで、一時間は留守にするらしいし、他の生徒はいないし…。

オレはと言うと、ちょっと病弱体質で、この保健室はすでに常連だ。

今日も貧血で、一時間目からダウン…。

高校も2年目なのに、オレ、将来大丈夫か?

まあ今はこのままベッドで寝てしまおう…。

「オイッ! 大丈夫か!」

…と思っていたのに。

同じクラスで保健委員のアイツが、保健室に飛び込んできた。

「倒れたって聞いて…」


倒れちゃいねーよ!

…ちょっとふらついただけだ。

にしても、コイツ今頃来たのか?

今朝来ていなかったから、安心していたのに。

「も〜俺、ビックリしてさ。慌てて来たんだけど…」

こっちへ来る気配。

面倒だから、寝たフリをしよう。

「それでさ、…アレ?」

シャッとカーテンが開く音。

「…寝てんのか?」

聞かなくても見りゃ分かるだろ!

「寝てんのか。しょうがないな」

ズズッとイスを引きずってくる音。

…居座る気かよ。

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