《MUMEI》 「中もスゴイんだよぉ。入ろうよ」 ミナに手を引かれ、マカは店内に足を踏み入れた。 「いらっしゃいませ。…おや、ミナさん」 「こんにちは、カガミさん」 店内には1人の青年がいた。 優しい顔付きをしており、メガネをかけた長身の青年だ。 「今日は親友のマカを連れて来たの!」 「それはそれは」 青年はマカを見て、にっこり微笑んだ。 「はじめまして、マカさん。わたしはこの店の店主をしております、カガミと申します。ミナさんからお噂はかねがね」 「それはそれは。どうせロクでもないことでしょうけど」 マカは顔で笑いながらも、眼は笑っていなかった。 「ひっどぉい! ちゃんと親友だって、言ってたもん!」 「はいはい。それよりお気に入りを見せてよ。その為に連れて来てくれたんでしょ?」 「あっ、そうだった! あのね、家具もステキなんだよ。カガミさん、良い?」 「どうぞ、ミナさんは見てくれる常連さんですからね」 「んもう! だってお店の商品、高いんだもん」 「コレは失礼。しかしわたしの店の物は全て1点ものですからね。値が張るのはしょうがないんですよ」 マカは店内を一通り、見た。 そして感じていた。 この身が疼く感覚を…。 「あっ、マカ、こっちよ!」 ミナはマカの異変に気付かず、無邪気に案内をする。 案内される途中で、マカの眼には様々な商品が映る。 ナチュラルな白さの食器達、美しい糸のようなモノで繊細な刺繍をされたハンカチ、そして文字通り血石のアクセサリー達。 前へ |次へ |
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