《MUMEI》

ミナに連れられて、マカは家具売り場に到着した。

「ここのソファとかランプとか、ステキじゃない?」

確かにミナが言う通り、ソファやランプは美しい皮張りだった。

安心するような肌の色をしており、一切模様や刺繍がされていない。

そのシンプルさが、不思議な魅力を持つ。

だが、マカの眉尻が上がる。

「…ミナ、これは…」

「やあやあ、こんにちは」

マカの声を遮り、店内に1人の中年男性が入ってきた。

高そうなスーツを着た中年男性は、上機嫌でカガミに話しかける。

「店主、今日は新製品が入ったとの事で来たのだが…」

「ええ、あちらの家具ですよ」

カガミがそう言って指した方向に、マカとミナがいることをはじめて男性は気付いた。

「おや、失礼。お嬢さん達が先客だったんだね」

「いっいえ、見に来ただけですから!」

ミナは慌てて家具から離れ、マカの背後に隠れた。

「ステキなアンティークショップがあると言われて、見学に来ただけですからお気になさらないでください」

そう言ってマカはミナを連れて、家具売り場から引いた。

「すまないね。楽しみにしていたもので」

カガミの案内で、男性は家具売り場に来た。

「こちらのランプとソファが最近、入荷したものなんですよ。いかがです?」

「おおっ…! コレは素晴らしい手触りだ!」

男性はうっとりした様子で、ランプとソファの手触りを楽しんだ。

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