《MUMEI》

「よし! いただこう!」

「ありがとうございます」

2人が会計に向かっている間、ミナはこっそりため息をついた。

「あ〜あ、売れちゃったぁ」

「なぁに? 欲しかったの?」

「結構ステキだったから。でもスッゴク高いんだもん。見るだけでいいや」

「そうしなさいな。ミナには可愛い家具の方が似合うわよ」

「えへへ、そうかな?」

笑顔のミナに、マカも笑顔で返す。

「もちろん。…ああいう家具は、もうちょっと大人になってからね」

「そうだね。ちょっと早い気がするし。う〜ん…。でもあのお人形は、ちょっと本気で欲しいカモ」


「人形…」

「うん、でもお人形の方が家具より高いし、人気があるからすぐ売れちゃうの。入荷し辛い商品だから、嬉しい悲鳴だって、カガミさんが言ってた」

「そう…ね。確かに手に入れるのは難しいかもね」

マカはぎゅっと唇を噛んで、カガミの方を向いた。

男性は上機嫌でカードで支払っていた。

しかし会計の途中で、カガミはショーウィンドウに飾っていた人形を紹介する。

すると男性は興奮し、3体とも購入した。

「あっ、あ〜。お人形まで持ってかれたぁ」

「お人形じゃなくても」

マカはミナに満面の笑顔を見せた。

「私がぬいぐるみを作ってあげるわ。可愛いウサギとクマの」

「えっ!? ホント? 嬉しい!」

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