《MUMEI》 . 仲睦まじいふたりの姿を、じっと、見つめていると、 先に、剛史がわたしに気づいた。 「あ、鼎」 わたしの名前を呼ぶと、柏木サンもこちらを見た。 彼女はわたしの顔を確認すると、軽く会釈した。どうやら、わたしが剛史の彼女だと、知ってるみたいだ。 柏木サンは、剛史の方へ向き直り、じゃーね☆と挨拶して、離れる。 わたしの横を通り過ぎるとき、 彼女が、こっそり囁いた。 「アイツ、いいヤツだからさ…よろしくね」 ………なに それ? 剛史が、『いいヤツ』だなんて、 そんなの、とっくに知ってるよ。 . 前へ |次へ |
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