《MUMEI》
様々な『もしかしたら』
.

でも、


さっき、柏木サンと一緒にいたときとは、

全然、別人みたいで、

慣れてるはずなのに、なんだか、冷たく見える。




………もしかしたら、


剛史、


まだ柏木サンのこと、すき、とか??




「…あ」




突然、剛史が声をあげて立ち止まる。ノート忘れた、と続けてぼやいた。


彼の声を聞きながら、

わたしの気持ちは、どんどんマイナスな方向へ傾いていく−−−。




そんで、もしかしたら、


わたしは剛史にとって…………


『都合のいい女』、なんじゃないの??




「ちょっと、取ってくる…」



呟きながら、ゆっくり振り返った剛史は、



「え…??」



わたしの顔を見て、ビックリしたような声をあげる。


彼の後ろにいたわたしが、込み上げてくる涙を、ハラハラとこぼしていたから。


.

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