《MUMEI》 . 彼はわたしの両肩をがっしり掴んで、顔を突き合わせた。 「ちょっと!!俺、忘れ物取ってくっから!!待ってろ、ここで!!」 大声で早口に言うなり、剛史はわたしから離れて走り出した。一度だけ振り返って、待ってろよ!?と念を押し、ものすごいスピードで校舎の方へ行ってしまう。 ………もう、ムリ。 こんなの、堪えられない。 いくらわたしが、剛史のことがすきでも、 『都合のいい女』は、イヤだよ。 わたしはこぼれる涙をそのままにして、 剛史の言いつけを守らずに、 その場所から、ひとりで、ゆっくりと歩きはじめた。 ****** 前へ |次へ |
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