《MUMEI》

.

彼はわたしの両肩をがっしり掴んで、顔を突き合わせた。


「ちょっと!!俺、忘れ物取ってくっから!!待ってろ、ここで!!」


大声で早口に言うなり、剛史はわたしから離れて走り出した。一度だけ振り返って、待ってろよ!?と念を押し、ものすごいスピードで校舎の方へ行ってしまう。




………もう、ムリ。


こんなの、堪えられない。


いくらわたしが、剛史のことがすきでも、


『都合のいい女』は、イヤだよ。




わたしはこぼれる涙をそのままにして、


剛史の言いつけを守らずに、


その場所から、ひとりで、ゆっくりと歩きはじめた。





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