《MUMEI》
夕暮れどきの公園で
.




学校から程近くにある、小さな児童公園のブランコの上、

わたしは腰をかけて、ゆらゆらと、小さく揺られていた。


もう、夕暮れどきで、

公園には、わたし以外、だれもいない。


ひっそりと静まり返った、寂しい公園の中、


キィ…キィ…と、鎖が軋む音と、

微かに伝わる、振動に、



ただ、身を任せていた。



あれから、ずいぶん時間が経つけれど、


剛史は、現れない。



迎えに来て、くれないのかな?




………なんて、当たり前か。


だって、わたしは『都合のいい女』だもんね。


いきなし、いなくなったって、


探してくれるワケ、ない。


うん。そうだよね。




ひとりで言い聞かせ、また、泣きそうになる。


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