《MUMEI》 . わたしはキョトンとして、柏木サンの顔を見つめた。 ひとしきり笑い転げたあと、彼女はわたしに静かな声で言う。 「剛史、血相変えて探し回ってたよ…街の方、走ってった」 迎えに行ってあげて??と、優しく頼まれて、 自然と、わたしは、 頷き返していた………。 ****** 一刻も早く、会いたかった。 わたしは夜の街を駆け抜ける。 たくさんの人混みをすり抜けて、掻き分けて、 走り続けて−−−。 「カーノジョ!!」 突然、グイッと手首を掴まれて、わたしは小さく悲鳴をあげた。 足を止め、手を取った人物を見上げる。 . 前へ |次へ |
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